Attribution in GAとは
「Attribution in GA」(日本語名「アトリビューション」)とは、2019年Q4(10 – 12月期)にGoogleアナリティクス上に追加された新機能のことで、広告、自然流入を横断してアトリビューション分析を行うことができるツールです。「Googleアトリビューション」というツールが開発されていたことをご存知の方も多いのではないでしょうか。「Googleアトリビューション」自体は独立したツールとして提供されず、Googleアナリティクスの中に組み込まれることになりました。それがこの「Attribution in GA」という機能です。

上図をクリックすると「アトリビューションプロジェクト」をGoogleアナリティクスに設定した「目標」(=コンバージョン)単位で作成することができます。逆に言うと、「イベント」を元に分析を行うことはできないので、分析したい「イベント」は必ず「目標」としてセットしておきましょう。
Attribution in GAの主な機能
Attribution in GAでは下記の分析を行うことが可能になります。
- モデル比較
- ラストクリック
- ファーストクリック
- 線形
- 接点ベース
- 減衰
- データドリブン(※過去28日間に400コンバージョン、1000タッチポイント必要)
- コンバージョン経路
- コンバージョンまでの所要期間
- コンバージョン経路の数
このAttribution in GAは、参照元が「Direct」を除く、ルックバックウィンドウ期間に発生したすべてのタッチポイントを考慮して分析が行われます。そのため、実際にこのAttribution in GAが使えるまでデータを蓄積するために、最大で72時間ほど必要となります。

マルチチャネルレポートとの違い
Googleアナリティクスを使いこなしている方の中には、それって「コンバージョン」メニュー配下の「マルチチャネルレポート」とどう違うの? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに「Attribution in GA」のほとんどの機能が「マルチチャネルレポート」でも利用できます。「マルチチャネルレポート」との違いをまとめると大きく下記の点が違います。

違いをまとめてみると、「Attribution in GA」ではすべてのタッチポイントが分析に使用できることは大きな違いではないかと思います。インプレッションパスの可視化など、まだ出来ないこともありますが、ベータ版ですのでこれから機能の拡充が行われていくのではないかと思います。
いずれにせよ、アトリビューションに関する機能はこの「Attribution in GA」に統一されていくのではないかと思います。
“適切な広告の予算配分”を考える際に使用しよう
アトリビューション分析と言うと、なにやら高度な分析はできそうだけど何に使えるのかいまいちよくわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか? コンバージョン経路をひとつずつ見ていくことも面白いのですが、経路が多様すぎて分析に手間がかかるわりにはアクションにつながらないというケースも多いのではないかと思います。
個人的には、この「Attribution in GA」などの機能を「適切な広告の予算配分」を考える際に使用するのが現時点で一番効率的な使い方なのではないかと思います。
ラストクリックとデータドリブンモデルを比較しよう

コンバージョンの計測方法として最もメジャーなものは「ラストクリック」モデルで、Google広告、Yahoo!広告、Facebook広告などほとんどの主要な広告媒体でデフォルトのコンバージョン計測モデルとして採用されています。
一方で、データドリブンモデルは過去のすべてのタッチポイントを考慮して、機械学習によって貢献度をそれぞれのタッチポイントに割り当てます。現時点では、アシスト効果を加味して広告の貢献度を見るにはデータドリブンモデルを使用するのが最も精度が高いのではないかと思います。データが足りなくてデータドリブンモデルが利用出来ない場合は線形(均等配分)を使用しましょう。
モデル比較ツールを使用すると、下記のように「ラストクリック」モデルでコンバージョンを計測した場合と「データドリブン」モデルで計測した場合の変化率を出すことができます。

上の図の場合、Google検索はラストクリックではコンバージョン数の割合は37%でしたが、アシストを加味したデータドリブンモデルでは41%に上昇していました。コンバージョン数の割合の変化率は41%÷37%-1で+10% 上昇したことになります。アシストも考慮すると、予算を10%増やしても良かったかもしれないわけです。
逆にYahoo!検索の場合は割合の変化率が-33%と減少しています。この場合、他の媒体からのアシストに助けられてコンバージョンしていて、かつアシスト数も少ないため、予算を33%削減しても良かったのではないかと捉えることができます。
このような考え方に基づいて、実際の利用金額に割合の変化率を当てはめると、各広告媒体の推奨予算配分は下記の通りとなります。

同じ予算の中でコンバージョン数を最大化するには上図のように予算を配分すると良かったわけです。もちろん、これはあくまでも過去の配信実績によるものなので、キャンペーンや商材が代わったり、ターゲティングを変更するなどした場合は条件が変わってきますが、予算配分を考える上でのひとつの参考にはなるのではないかと思います。
YouTubeやアッパーファネル系のディスプレイ広告の効果などを検証する意味でもAttributiom in GAなどでモデル比較をしてみてはいかがでしょうか?